奇祭「タイプーサム」で100万人のヒンドゥー教徒に揉まれる

マレーシアの人口の約7%(300万人ほど)を構成するインド系の人たち。南インドのタミルハージャ州をルーツに持つことからタミル人と呼ばれている。タミル人にはタミル暦という太陽暦の一種があり、4月ごろから始まって10ヶ月目にあたる月をタイ(Thai)という。そして、タイの月の満月の日に行われるのがタイプーサム(Thaipusam)というヒンズー教の祭り。

2024年は1月25日がタイプーサムで、たまたま滞在日と重なった。クアラルンプールで中心部の北側にあるバトゥ寺院というところを中心に開催される。クアラルンプール駅からの電車は99%がインド系の人だった。この日はバトゥ洞窟駅までの電車の運賃が無料になる。

朝9時、電車を降りるとすぐに爆音が鳴り響くお祭り会場になっていた。バトゥ寺院までの道の両脇にはお店が連なり、特設の遊園地までできていた。

そしてこれがバトゥ寺院。金色に輝くのは、ヒンドゥー教のムルガン神で、タイプーサムではこのムルガン神を称えて祝う。正面左手には階段があり、本殿のある洞窟へと続いている。参拝しようとする人がぎっしりと並んでいるのがわかる。

巡礼する人の頭には牛乳の入ったポットが乗っている。ヒンドゥー教で聖なるものとされており、お清めにも使われる。

巡礼の列は途絶えることなく、朝から晩までひっきりなしに人がやってくる。クアラルンプールには100万人ものヒンドゥー教徒が押し寄せるらしい。

タイプーサムはしばしば「奇祭」と言われることがある。特に信仰心の強い一部の人たちは、体に串や釣り針のようなものを刺して、重さが30kg近くにもなるカバディという神輿を背負って朝から晩まで歩き、踊り続ける。こうした苦行をすることで、悪いことから解決しようとするという。

体に刺さった針などは見ていて痛々しい。炎天下の中歩き続けて、寺院に到着する頃には意識が朦朧としている。それを家族や友人などのグループが付き添って見守り続ける。

旅のMEMO

タイプーサムの日はバトゥ洞窟周辺は大混雑する。バスやタクシーは大渋滞にハマってしまうので、訪れるなら電車がよさそう。クアラルンプール駅から約30分。