マレーシアへ行く、初日。

年末、友達に紹介された女性がマレーシアに留学していたという話を、金沢のスリランカ料理屋で聞いた。どんな文化で、どんな料理があるかという話を聞いてもピンと来なかったけど、彼女が100回くらい「またマレーシアに行きたい」というので、その場で航空券を調べみる。そして、気がついたら3週間後に中部国際空港にいた。

今回も中国東方航空で、シンガポールへの往復でチケットを取得。シンガポールも行ったことがなかった&航空券が若干安いのがその理由。シンガポールからは空路で北部のペナンへ行き、陸路で南下してシンガポールに戻る予定にした。

行きは中国東方航空グループの上海航空の機材。16時出発の予定が、上海の空域混雑の影響で出発待機になり、結局、搭乗開始が17:40になった。トランジットの時間を長めに取っておいてよかった。

機内食は唐揚げ弁当。

予定より2時間ほど遅れて上海の浦東国際空港に到着。もともと5時間のトランジットだったのが3時間ほどになって、ちょっとラッキー。上海ではWiFiが使えない(使えるが、登録が面倒で、かつGoogleが使えないので実質使えないに等しい)ので、ほぼ作業ができない。そして渡航制限の影響でターミナルS3のラウンジは閉鎖されており、することがない。

水を買える場所もあまりなくて、保安検査場で油断していたらペットボトルを捨てられて水難民になった。浦東には給水場がたくさんあるので、保安検査場の通貨前にボトルを空にしておき、ここで入れるのかおすすめ。ちなみに、水は買えなくもないが、600円くらいする。あと、お湯も出るので、みんなカップ麺を持参して待ち時間に食べている。

そうこうしているうちに23時50分、シンガポール行きの飛行機が出発。翌5時30分頃にチャンギ国際空港に到着した。ペナンまではシンガポール航空系列のLCC「SCOOT」で。日本からは東京と大阪から直行便がある。早く名古屋にも就航してほしい。

定刻通りにシンガポールを出発して、1時間ほどでペナンに到着。2024年からデジタル入国カードが必要になっていたことを知らず、その場で登録。UIが良くなくて手間取ったが、5分ほどで完了。日本のSIMがそのまま使えたからよかったけど、SIMもWiFiもなしにこの状況だと詰みそう。(でも、入国審査で書類の確認をされたりはしなかった。パスポート番号と紐づいて確認されたりしてっるのか‥?)

自分たちが乗ってきた便しかなく、列の真ん中だったのに、審査は45分かかった。マレーシアはクレジットカードが使えないところが多いそうなので、まずはATMでキャッシングでして現金を‥と思ったが、エラーが返ってくる。カード会社に連絡しても止められたりはしていないそうだったが、念のためセキュリティを緩めてもらう。3社あるうち、1番最後に試したところだけできた。

結局空港を出るまでに2時間近くかかった。まずはペナンの中心部へ行く。タクシーやGrabを使ってもいいが、ローカル感を味わいたいのでバスで行くことにする。料金は2リンギット。現金オンリーでお釣りはない。乗車前に空港で何か買って小額紙幣を用意しておく必要がある。

1時間ほど走ると、市の中心ジョージタウンに到着した。午後1時すぎ、腹ペコで、バス停近くにあった「福建蝦面」が美味しそうだったので入ってみる。英語は全然通じないので、写真を指差して注文。

食べかけだけど、こちらが牛骨入りの麺。見た目は赤いが優しいピリ辛で、エビとホタテの出汁が効いていてとても美味しい。いや、うますぎる。中太の中華麺と極細の米粉の麺がミックスされており、1口で2つの食感が合わさるのもいい。

ペナンは中国・福建省からの移民が多いらしく、福建料理の影響を受けている。「福建蝦面」も文字通りで、中華的でありながら、まろやかな味になっていて食べやすかった。

ジョージタウンはユネスコの世界遺産に登録されている。マラッカ海峡の要所として栄え、イギリスが支配していた。その時のイギリス国王・ジョージ三世から名前をとっている。

交易の街として栄えると、しだいに中国からの移民も増えてきた。そして彼らがつくったのが、1階を店舗、2階を住居にした「ショップハウス」。欧米文化と中華文化の両方の影響を受けたユニークな外観をしている。

ペナンではスラム化を防ぐ目的で2000年まで家賃統制が敷かれていた。この影響で大家は大きな家賃収益を得られずに、家の改修ができなかった。これが結果的にショップハウスを昔のままに保つことができた理由で、この建物群と文化が残っていることが評価されて世界遺産に登録された。

ジョージタウンでは、10歩歩けば美味しそうなものが見つかる。何となく良さそうな雰囲気に引かれて入った通りにあったお店で「チェンドル」というデザートを買ってみた。あとで調べてみたら、チェンドルの名店だそう。チェンドルは米粉でできたゼリー状のぷるっとして麺に、甘くしたココナッツミルクと小豆餡をかけたもの。

見た目が良いとは言えないので最初はビビっていたが、美味しかった。味は特徴があるわけではなく、上記の具材を混ぜたものをイメージしたら、だいたい合っている。ね、美味しいでしょう?

ペナンはストリートアートでも有名らしい。2008年の世界遺産登録を機に観光政策を進めており、2012年のプログラムでアーティストを招聘して壁に絵を描かせたのがはじまり。街のあちこちの壁に絵が描かれていて、それを目当てにした観光客が写真を撮っている姿も目にする。

観光客を楽しませるのにはそれが正解なのかもしれないが、世界遺産の建物にそれをするのが正しいのかは疑問が残る。少なくとも、いまのペナンの街は、世界遺産登録された当時の姿からだんだんと離れている。とはいうものの、街は変わっていくもので、そのまま保存する必要もないとは思うし、観光収入が結果的にペナンの人に良い形で還元されるのなら、反対もしない。

この日は夕方からスコール。宿に戻りつつ、近くの店で「肉骨茶」を食べてみる。名前の通り、骨付きの肉を、生薬の入ったスープで煮込んだもので、見た目に反してあっさりしていて美味しい。薬膳料理的な匂いもあり、好き嫌いが分かれる気もするが、個人的には好きなタイプの料理だった。

機内で寝られない人間なので、ほぼ無睡の2日目。スコールも止んで、屋台で食べ歩きをしたい気持ちがありつつも、さすがに眠いので、今日はここまで。

旅のMEMO

ペナン島内のバスはお釣りが出ないので、小額紙幣(1リンギット札)を用意しておくのがベスト。