長すぎる我慢の3年間を経て、ようやく海外旅に行けるようになりました。まずは大好きなイタリアへ。航空路線が激減して名古屋や関西からのいいフライトがないので、羽田からの出発です。今回は中国東方航空で。安いからというのもありますが、ロシアがヨーロッパ諸国に対して領空の飛行を禁止している関係で、ヨーロッパ系の航空会社がロシアを迂回する必要性があり、通常より3時間ほど遠回りになってしまうのです。ロシアと仲良しの中国はお構いなしで最短ルートを飛んでいくので、上海で乗り継ぎをしてローマへ向かいます。
イタリアに到着してテレビをつけるとインフレやロシアの話題ばかり。
今回はヴェネツィアから南下してローマへ向かう6日間の旅程。まずはヴェネツィアへ。もう何回来たか忘れたけど、何回来てもわくわくする街。学生時代はずっと歩き回っていたので、船に初乗船。ヴェネツィアの島内は細い道だらけで車が入れないので、船が大事な交通手段です。
ところが運行が15分間隔ほどで、殺到する観光客のキャパに追いつかず、乗船するのに30分以上待つことに。結局、歩いて20分ほどで行けるところに1時間近くかかったような。そして年々運賃が上がっており、1回乗船するだけで9.5ユーロ(1,500円)もするという‥。もはや遊園地のアトラクションです。
地元の人は優先レーンがあるものの、中は観光客でぎゅうぎゅう。買い物袋を持って入ってきたおばさんとおじさんで「どいてよ!!狭いのよ!!」と口論になっていました。京都といい、バルセロナといい、観光客の増加に輸送が追いついていない問題は解消するどころか、だんだん悪化しているような‥。
オーバーツーリズムが深刻な問題になっているヴェネツィア。約5万人の人口に対して、毎年およそ3000万人もの観光客が押し寄せているといいます。家賃の高騰と生活環境の悪化により(イタリアは日本に次ぐ高齢化社会なので、原因はそれだけではないですが)ヴェネツィア本島の人口は70年間で約70%も減少。さらに気候変動による高潮の問題も重なり、世界遺産から除外される危機にあります。
その対策として、これまで宿泊客からは宿泊税を徴収してきましたが、この夏から日帰り客に対しても入島税を徴収することが決まりました。その金額は3〜10ユーロ程度ですが、ヴェネツィアの島の環境が守られるならこの10倍でも喜んで支払います。ただ、すでに観光が主要産業になってしまっているヴェネツィアから急に観光客がいなくいなっても困るわけで、この舵取りは慎重にする必要があります。
2020年、世界を襲った新型コロナウイルスで、ヴェネツィアからも観光客の姿は消えました。その結果、悪臭を放っていたヴェネツィアの運河の透明度が増し、見違えるほど綺麗になったそうです。言われてみれば、たしかに綺麗になっている。
訪れた9月末はハイシーズンの終盤ではあるものの、それでも人だらけ。サンマルコ寺院周辺はどこも大混雑しています。
世界最古のカフェで、カフェラテを生み出したと言われている「フロリアン(FLORIAN)」。1720年創業、日本だと徳川吉宗が享保の改革を行っていた頃です。サンマルコ広場に面したこのカフェでは、天気が良ければテラス席にも座れて、生演奏の音楽を聞きながらコーヒーブレイクができます。
ふたりでコーヒーを一杯ずつと、小さなサンドイッチを注文。お会計はミュージックチャージ(6ユーロ×2人)と合わせて約40ユーロ(6,500円)。帝国ホテルより高いコーヒーをはじめて飲みましたが、この雰囲気を味わえるなら文句なし。
夕食はイカスミのスパゲッティ。美味しすぎて悶絶。
隣の席で食事をしていたご夫婦はオーストラリアから訪れていて、3ヶ月の休みがあるそう。「イタリアは遠いからこれくらいなくちゃね」と言っていたけど、それだけ長期の休みが取れるのが羨ましい。
夕食後、鉄道でフィレンツェへ向かいます。