急須の名工を訪ねて

いまやお茶はペットボトルで飲むのが当たり前になりました。急須に茶葉を入れて、湯呑に注いで飲むことが少なくなりましたが、やはり急須で飲むお茶は美味しいもの。味がいいのはもちろんのこと、手間をかけて淹れる時間が仕事の合間の疲れを癒やしてくれます。

お茶の文化は中国から伝わったとされており、二千年も前から各地で茶器が作られていたといいます。数ある産地の中でも代表とされるのが江蘇省宜興(ぎこう:Yixing)です。今回は「急須でお茶を」という書籍の取材で訪れた写真の一部をご紹介します。

宜興は上海から西に車で約3時間の位置。陶器の街として知られ、陶器を扱う店や問屋が集まった1km四方の巨大な団地があるほか、市内各地に無数の店や工房が点在しています。

まず訪れたのは、宜興市の陶瓷協会。客間にはいつでも茶が出せるように茶盤と茶道具一式が用意されており、慣れた手つきでお茶を淹れてくださいました。

中国宜興陶瓷博物館には、数百点もの急須が展示されています。

ここ宜興で急須づくりが盛んになったのは、良質な土がとれるからにほかなりません。鉄分が多く含まれたこの土は、焼成すると朱茶色になることから「朱泥」、一般には「紫砂(しさ)」と呼ばれています。そして、紫砂で作られた急須のことを「紫砂壺(しさこ)」と呼びます。

この取材では、紫砂壺を作る10人の名工を訪ねました。ここからは駆け足で、写真だけをご紹介。

この取材を機に、急須でお茶を飲む魅力に引き込まれてしまったのでした。

旅のMEMO

【アクセス】上海虹橋から宜興駅まで列車で約2時間半。市内はバスの路線も多い。