道として登録されている世界遺産は世界にふたつ。ひとつは日本の熊野古道。もうひとつはスペイン北部にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路です。巡礼路はスペイン国内、ポルトガル、フランスなどの多方面からいくつもありますが、そのうちフランスからスペイン北部を通るルートが世界遺産になっています。いずれの巡礼路も目的地はここ、ガリシア州ア・コルーニャ県のサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂。この大聖堂には十二使徒聖ヤコブが祀られて、古くは9世紀から巡礼地となりました。
ここ何年かは改修中ですが、美しい正面の彫刻だけでなく、増改築による様々な時代の文化が融合した建築が魅力的です。今回の旅はそんな大聖堂が目的地。
せっかくなら徒歩や自転車で巡礼したいところですが、今回はバスで。ルーゴからALSA(運行は別会社)のバスで16ユーロ、約2時間の行程でした。ルーゴとサンティアゴはさほど離れていませんが、ア・コルーニャ経由だったので距離以上に時間がかかってしまいました。
サンティアゴの旧市街の外は、いたって普通のスペインの街。白い建物が並ぶ風景が印象的で、きれいな街です。郊外には新興住宅やおしゃれな現代建築もあります。スペイン最大手のデパート「El Corte Ingles(エル・コルテ・イングレス)」があるのは活気のある街の証拠。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学があることもあって、活気もあります。
ひとたび旧市街へ目をやると、堂々と建つ建築の数々が目に入ります。やっぱり目を引くのは大聖堂。工事中なのが残念ですが、遠くからでも正面の彫刻に目がいきます。
正面の彫刻
さあ、中へ入ります。ロマネスク様式の大聖堂で窓が少ないため、中は薄暗いです。入口は正面ではなくて、裏へ回ったところ。入場は無料でした。博物館や大聖堂内の特別な場所へ行くにはツアーに参加する必要があるようです。
薄暗い内部ですが、中央祭壇には照明が当てられ、眩しく輝きます。その中央には黄金のヤコブ像が佇んでいて、背後にある黄金の間から間近に見ることができます。
回廊にいくつかある礼拝堂もどれも見ごたえのある空間。
そんな大聖堂、夜になるとライトアップされて美しさが増します。
最近、家賃の安いところに引っ越したおかげでお財布の紐が緩くなっています。いつもならスーパーで食材を調達して自炊するところですが「本日のメニュー、9.5ユーロ」の看板を見て吸い寄せられるようにカフェテリアに入ってしまいました。
メニューはシチュー、マッシュルームとベーコンのリゾットというガリシア感ゼロの料理でしたが、美味しいのでよしとします。スペインって本当に物価が安くて助かります。こんなメニューでもパリではカフェテリアにさえ入る勇気がないので…(経済的に)。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ、いいところです。