シウダ・ロドリーゴの闘牛祭り part.2

シウダ・ロドリーゴの闘牛祭り」に引き続き、パート2です。闘牛祭りというだけあって、闘牛が一番のイベントです。16時になると闘牛がはじまりました。チケットは一般10ユーロ、学生は4ユーロでした。小さな街の特設会場というだけあって、10ユーロのチケットでも牛を間近で見られます。

まずは白馬に乗った美少女が入場してきます。

白馬の美女に率いられて闘牛士たちが入場。

壁の後ろに隠れて牛の入場を待ちます。

牛、入場

準備ができたら主催者長が合図を出して、ラッパの音が鳴ります。そしてゲートが開けられ、ものすごい勢いで牛が入場してきます。

闘牛士の助手たちがカポーテ(マント)でおびき出しては壁に隠れて、牛を暴れさせます。そして、その牛がどんな牛なのかを判断します。ある程度牛が暴れたところで、ピンクのカポーテを持った闘牛士や助手が出てきて、演技をはじめます。

この先、血や動物の死体を含む画像があります。苦手な方は閲覧にご注意ください。

ピカドールの登場

やがて合図が鳴ってピカドールという防具付きの馬に乗った槍手が入場してきます。助手たちは牛を誘導して馬に向かって突進させます。そして牛が馬にぶつかる寸前、ピカドールが牛の首をめがけて槍を刺します。これで牛の攻撃力を弱めて、闘牛士の演技を引き立てます。でも、弱くなりすぎてもだめ。急所を突くのは持ってのほか。槍手の腕の見せ所でもあります。

バンデリージョの登場

ピカドールが退場すると、こんどはバンデリージョの出番です。バンデリージョは牛をめがけて走り、背中にバンデリージャ(飾りのついた銛)を打ち込みます。カポーテを持っていないので、牛をかわす手段がありません。一歩間違えると大参事になります。

闘牛士、登場

ここでようやくマタドール(闘牛士)の登場です。マタドールは「殺す」という意味の「matar(マタール)」という動詞が変化したもの。そう、闘牛士は牛を殺す役目の人です。ここになってようやく闘牛士は「ムレータ」と呼ばれる赤い布を持ちます。

闘牛といえばこの赤い布ですが、実は牛には色を見分ける能力がありません。牛が突進してくるのは、ひらひらしているものに反応しているだけ。だから色はなんでもいいんですね。でも赤い布を使うのは雰囲気を盛り上げるためだといいます。

殺しの時

闘牛士はしばらくムレータを使った演技を披露します。そしていよいよ殺しの場面です。牛に剣を向けてポーズをとると、会場の盛り上がりは最高潮に達します。あちこちから「¡Matalo!(殺せ!)」の声が聞こえてきます。闘牛士は牛の急所に剣を指します。これで牛がきれいに死ねば優秀な闘牛士としての名誉を得ます。逆になかなか死なずに何度も剣を刺せば会場から大ブーイングを浴びせられます。

剣をつかれた牛はしだいに足がふらついて、倒れこみます。この日の4人のうちベテランの2人は比較的きれいな殺しができましたが、若手のひとりはなかなか殺せずに大苦労。助手たちの力を借りてようやく殺せました。この写真はなかなか殺せなかった牛。剣を肺に刺してしまったために口から血を吐いてしまっています。それでもなかなか死ななかったので、短い刀でとどめを刺しました。これはきれいな死とはいえません。

死んだ牛は馬に引きずられていきます。会場はすぐに整えられて、すぐに次の牛が登場します。

インドゥルト

基本的には闘牛士は牛を殺します。でも、牛が殺すにはもったいないほど優秀な時、観客は一斉に白いハンカチを振って「Indulto(インドゥルト)」の声をかけます。それを見て主催者は牛を生かしておくように指示します。生き残った牛は種を残すための余生を送ることになります。

インドゥルトが決まって、仲間のお迎えがやってきました。

仲間に連れられて帰っていきました。

最近は動物愛護団体からの反対もあって減りつつある闘牛ですが、実際に見てみるとそれも納得。目の前で動物が死ぬ瞬間を見たのははじめてでしたが、衝撃的ですよね。最初の数分は楽しんで見ていましたが、槍を刺されてからは全然笑えませんでした。拍手なんてできたもんじゃありません。伝統がなくなるのは寂しい気もしますが、そうは言い切れないから複雑です。

旅のMEMO

闘牛はスペインの伝統文化ではあるが、動物愛護の観点から近年は肩身が狭くなっている。