ゲントの夜明け

ドイツの首都ブリュッセルから西へ電車で30分のところにゲントという街があります。ベルギー観光といえばブリュッセルと北方のベニスとも言われる世界遺産のブリュージュです。ゲントという名前は聞いたこともありませんでしたが、知るきっかけになったのはここに留学していた先輩の話をきいてのこと。写真を見て「きれい!」と思ってからというものの、ずっと行きたくて仕方ありませんでした。

ゲントには2泊しましたが、トップの写真は到着した翌日の朝撮影したもの。到着日に街を散策した感じだと、ゲントは賑やかで明るい印象でした。それもあって朝焼けを使った明るい写真を撮ろうと思っていました。ところが夜が明けても街は静かなまま。朝と夜で違う街のようでした。そこで、朝の不気味な静けさを表現してみました。おもしろい街です。

前日までブリュッセルに滞在していましたが、少し怖い思いをしたので、朝起きてすぐに抜け出してきました。ブリュッセルからはいったんゲントを通過してブリュージュという街に立ち寄りました。ブリュッセル中央駅からIC列車で1時間、14ユーロでした。

ブリュージュの街並みはきれいで、かわいい建物が並んでいました。ですが、イタリア大好き人間なので、「北方のヴェネツィア」や「水の都」という表現はいかがなものかと‥。時期が悪かったのか観光客であふれていたので、疲れて2時間もしないうちに駅へ向かいました。ここまでベルギーには全くいい印象がないので(ごめんなさい)先行きが不安でしたが、きっとゲントはいい街だろうと期待して、ゲント行きの列車に乗り込みました。

そんな低めのテンションでゲントの駅に降り立った僕でしたが、駅舎を出た瞬間の空気でもうゲントが好きになりました。ゲントはベルギー第三の都市ですが、駅は街のはずれにあるので人が少ないようです。駅からはトラムやバスで中心部へ行けますが、街の雰囲気をゆっくり味わいたいので歩くことに。

さて、今回ゲントで泊まるのは「Hostel Uppelink」というホステル。外観はこんな感じのギルドの家そのもの。今回宿泊したのは10人部屋で一泊21ユーロ(市税2ユーロ別)でした。古い建物ということもあって、階段はぎしぎし鳴るし、部屋も誰かが歩いただけでベッドが揺れます。ですが、スタッフは気さくな人たちでサービスも最高です。着いた瞬間から惚れてしまいました。

このホステルの注目ポイントはいくつかありますが、まずは何といってもこの立地。観光スポットが密集しているエリアまで徒歩1分どころか0分。お部屋からの眺望は3つ星ホテル並み。窓を開けると目の前に橋と川と建築群。素晴らしい。

注目ポイントその2は、おしゃれな共有キッチン・ダイニングつき。渋めのジャズが流れていて、昼は窓からの光が、夜は暖色の照明が最高の雰囲気をつくってくれます。キッチンは自由に使えるので、ここで料理をして夕食をゆっくりと楽しめます。

注目ポイントその3はベルギービールを楽しめるバーがついていること。宿泊者は50セント割引。ビールの種類も豊富で、日本でもお目にかかれるCHIMAYビール(赤・白・青)やゲントのStropというビールなどなど、どれも街のお店よりずっと安く飲めます。しかもビールは専用グラスに丁寧にいれてもらえます。ちなみにこの写真のCHIMAYの赤は3ユーロでした。日本で同じ瓶を買うよりも安いです。

余談ですが、街の酒屋さんに行くとビールがずらりと並んでいます。よっぽどのビール通じゃない限りどれがどれだか分からないので、日本でちょっと勉強してから行くといいかもしれません。僕は知識ゼロで行ったのでてきとうに頼みましたが、どれも美味しすぎるので、てきとうでもなんとかなります。

注目ポイントその4は朝食つき。トーストやジャム、ハム、チーズ、ジュース(しかも安いのではない)、コーヒーなど取り放題。朝食のサービスがなくとも、いつもバックパックにパンとジャムを忍ばせていますが、こうやって落ち着いて食事ができるのは嬉しいです。

そんな素敵な宿でぐっすり寝て目を覚ますと朝の9時。しまった、朝焼けを逃した!と思ってカーテンを開けると薄っすら明るくなり始めたばかりの空でした。ほんと、日の出が遅いって助かります。

最初は不気味なグラデーションがかかっていた空も、しだいに暗くなってきてどんよりとした空模様に。おかげでずっしりと重量感のある絵になりました。映画のなかの世界のようです。

さあ、ここからゲントの魅力を探る散歩へでかけます。

続く。

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