ヨーロッパの名城○選の常連で、ディズニー映画「白雪姫」のお城のモデルになったとも言われているセゴビア城(アルカサル)。崖と深い堀に囲まれた無敵の立地で、中世は軍事上の重要拠点でした。王宮がマドリードに移ると牢獄として使用されたこともありました。そんなアルカサルをどう撮るか。スペインの歴史を見ていくと、どうも暗い過去があります。その代表例が異端審問や植民地での大量虐殺です。それに加えて、スペインの大地は一年の大半が茶褐色や小麦色で覆われていることもあって、僕はどうしてもスペイン=青空というイメージがもてません。そこで、あえて曇りの日を狙って撮影にでかけました。
セゴビアへはマドリード市内から直通バスや鉄道のアクセスがありますが、駅は旧市街から離れているので、断然バスのほうが便利です。今回はサラマンカからアビラを経由してセゴビアへ向かいました。アバンサ社(Avanza Bus)のバスで片道14ユーロ、3時間ほどです。サラマンカからは1日2本のバスが出ています(曜日によって運行時間が変わります)。バスはセゴビア旧市街のすぐ近くのバスターミナルに到着します。
今回は日没直前の写真を撮るために「DUERMELA」というホステルに宿泊。4人部屋で18.5ユーロ。受付のお姉さんは色白のお肌で「ブランカ(Blanca)」という名前でした。白雪姫のお城がある街で名前も「白雪姫(英語:Blanca)」そのものという偶然!
荷物を置いて、さっそくセゴビアの旧市街へ。観光地といこともあって、見どころには観光客がいますが、ちょっとメインの通りから離れれば静かなところです。ゴミひとつ落ちていないきれいなところで、スペインの典型的な街並みが続きます。この街並みだけでもはじめてのスペイン観光にはおすすめです。
さて、そんな旧市街を東へ進むとセゴビアのアルカサル(城)に到着します。お城は高い崖の上に建っていて、唯一の城への入り口も深い堀に架かる橋のみ。でも、地下通路があり、緊急時には重要な建物間を移動することができたそう。旧市街は丘の上にあって、観光客の多くは丘の上の入り口からお城に入って、そのまま帰っていきます。でもそんなのじゃもったいない!お城の脇にある細い遊歩道を歩くと広場に出て、そこから崖の上に建つセゴビア城を見上げることができます。このアングルこそまさに白雪姫のお城!
ちょうどこの時期は紅葉シーズンだったこともあって、黄色く染まった葉とセゴビア城を一枚に。
観光ガイドに載っているのは広場だけですが、写真馬鹿としてはいいアングルを探す必要があります(謎の義務感)。そこで、いつもお世話になっているGoogle Mapさんの力を借りて事前に周辺の地形や道を調べておきました。ということで、その情報をもとに歩きます。ひたすら歩きます…。
広場から歩くこと40分、お城の全景が見える場所に着きました!が、思ったよりガスっていて背景に見えるはずの山が見えませんでした…。無駄足でしたが、こうやって撮影地の地理をつかんでおけばいつかは役に立つはず…。
ここでお城の中を探検することに。お城の入場料は5ユーロで学生は3ユーロ。別途2ユーロを払えば塔に上ることができます。お城の中は軍事資料館になっていますが、説明はすべてスペイン語です。別料金で日本語や英語のオーディオガイドを借りることもできます。男の子の大好きな武具がずらりと並んでいて、これだけでもテンションがあがります。
広間へ進むと目を引くのが豪華絢爛な装飾の数々。床から壁から天井まで、どこを見ても「芸術」の文字が浮かんできます。まさに「お城の中!」という感覚。
こちらはお姫様のベッド。小さい女の子を連れたママさんが「これがおひめさまのベッドよ!」というと目をきらきらさせて「わぁーおひめさまあ(*´ω`*)!」ってなってたのが可愛すぎて胸きゅんしたのがこの日のハイライト。
個人的な見どころは、ステンドグラス。外に面した広間にはステンドグランスがいくつもあって、そのどれもがきれいなこと!セゴビア城は外観もさることながら、中も見ごたえのあるお城でした。ただ、一般の人が中に入れるのはほんの一部分に過ぎません。きっと隠された場所にはもっとすごいものがあるに違いありません。気になる…。
日も傾いてきた頃、撮影に向けてスタンバイに入ります。日中のお散歩で見つけたポイントをもとにだいたいの撮影場所を決めて、光の様子を見ながら調整します。今回はここに決定。
あとは空の明るさがちょうどいい具合になるまで待つだけなのですが、この待ち時間がかなりひまです。きっと誰か来るだろう、と思っていましたが結局誰も来ず。有名観光地の有名撮影スポットだとプロじゃなくともカメラを持っている人が一人くらいいるんですが、こういう辺鄙なところだとそうなりますよね…。
待つこと30分、ベストタイミングが訪れたのでささっと何回かシャッターを押して満足。そう喜びながらふと西の空を見ると「なんじゃこりゃー?!」というような真っ赤な夕焼けが見えました。もうむしろこの日のメインの写真はこっちでいいような気がします。
最後にライトアップを撮影しましたが、点灯が遅くてなんとも言えない写真になりました。あと10分早く点灯してくれればよかったのに…。
ホステルは水道橋のすぐちかくにあったので、ささっと撮影。この水道橋は2000年前のローマ帝国時代につくられたもので、セメントなど一切つかっていません。ただ石を積んであるだけです。それにもかかわらず、つい100年ほど前までは現役で使われていましたし、いまでも使おうと思えば使えるそうです。セゴビアの旧市街は丘の上にあるので、この水道橋は重要なライフラインになっていたんですね。
古代からの遺産が残るセゴビア、本当に良い街です。マドリードからのアクセスも良好で、アビラも近いので、スペイン観光の際はアビラとセットで訪れたい街のひとつです。つぎは雪化粧したアルカサルを撮りたいのですが、今年は暖冬のようでどうなることやら。