要塞都市、サンマリノ共和国

イタリア半島のなかには3つの国があります。まずはイタリア共和国。そしてカトリック教会の総本山、サンピエトロ大聖堂のあるバチカン市国。それからあまり知られていないのが、サンマリノ共和国という国。半島のなかほど、アドリア海に近い場所にあります。かなりマニアックな国ですが、イタリア一周の通り道だったので立ち寄ってみました。

サンマリノ共和国への玄関口は「リミニ」という街。まずはリミニに向かうべく、バーリ中央駅から夜行列車を待ちます。例によって、3時間遅れの発車です。東南アジアの寝台列車とは清潔感が段違い。

乗車すること約5時間、リミニに到着しました。

朝7時から夜の9時頃まで1時間半~2時間おきに直通バスがでています。バス停はリミニ駅からすこしだけ歩いたところにあって「S.MARINO」と書かれた看板が立っています。運賃は片道4.5ユーロで、乗車時に運転手からチケットを購入します。

バスは定刻より2分ほど遅れて到着。始発だったこともあって、地元のおじいさんと僕と運転手だけの3人ドライブ。車内には軽快な音楽が流れていて、朝から元気いっぱい。ただ、元気がありすぎて、中年太りの運転手は斜め後ろに座っているおじいさんとずっとお喋り。お喋りするだけならいいんですが、ずっとよそ見しながら。何度も何度も事故寸前になって、冷や汗かきっぱなしの30分でした。

バスの終点はサンマリノの旧市街。旧市街は崖の上にあって、まわりには田園風景が広がります。実はサンマリノは現存する最古の共和国と言われています。この険しい山が自然の城壁となって、敵の侵略から守ってきたんですね。

ちなみにサンマリノの正式名称は「Serenissima Repubblica di San Marino」、直訳すると「最も清らかなる共和国、サンマリノ」です。最も清らかな人が自ら「清らか」と名乗っていいものかは疑問ですが、なんだか「日出国日本」と同じ臭いがします。

人口約3万人のサンマリノ。さすがに旧市街だけでは生活できないので、山の下には新しい住宅地があります。ひとつの国とはいっても、ほとんどイタリア。どこに国境があるのかもわかりません。公用語はイタリア語ですが、話されているのはサンマリノ語だそうです。サンマリノ語といっても、イタリア語の方言のようなものなんだとか。

旧市街は世界遺産に登録されていて、中世の様相を残しています。

世界遺産を構成する建物のひとつに市庁舎があります。その市庁舎の前のリベルタ広場には真っ白な像が立っていて「自由の像」というそうです。これこそ、元祖自由の女神。なぜ自由の像があるのかというと、国旗に「LIBERTAS(自由)」って書いてあるんです。そう、ここは自由の国なんです。

さてサンマリノでいちばん人気なところを見ていきましょう。この街には戦いに備えてグアイタ塔、チェスタ塔、モンターレ塔の3つの塔があります。見るからに「要塞です」とわかるようなこの佇まい、わくわくします。

3つのなかでもいちばん有名なのがチェスタの塔。この立地、そしてこの形。かっこよすぎます。男の子が大好きなやつですね。

塔と塔のあいだにはこんな道があって、冒険気分で散策できます。斜面で危ないのに、楽しくてついつい早足になってしまいます。

塔からは遠くにアドリア海が見えます。半日もあれば観光できてしまう小さな国。ボローニャからなら電車とバスで日帰り旅行ができます。日程に余裕があれば訪れてみるのもおもしろいかもしれません。

お昼すぎにサンマリノを後にして、再びバスでリミニへ。1時間15分間隔でバスが出ています。

リミニからは満席の普通列車でボローニャへ。

予定より早くボローニャへ到着し、宿へ向かう。けれども、誰もおらず、連絡も取れず、入れない‥。しばらく待っていると管理人がやってきて、「ああ!早く着くなんて思ってなかったよー!!ハハッ!」と言って入れてくれました。管理人が24時間常駐していないホテル・ホステルが多いので、電話は必須ですね‥。

旅のMEMO

免税でも知られるサンマリノはショッピングはもちろん、レンタカーの場合はガソリンも課税されないので、サンマリノでの給油がおすすめ。